X線分析室

X線分析室には、薄膜試料の評価に適したSmartLabと粉末・多結晶試料測定用のSmartLabSEの2つのX線回折装置がある。

測定原理

X線回折法は物質内部の状態を知る有力な手段である。物質は気体,液体,固体の三体に分けられ固体物質は更に結晶,非晶質とに分けられる。結晶は原子が3次元網目状に周期的配列をして格子を形成しているが,非晶質ではこの周期性がない。X線回折法は主として結晶を対象にしているが,非晶質固体や液体の状態分析の研究にも使用される。  
今,結晶にX線を照射すると,X線は電子によって散乱され,互いに干渉しあって特定方向へ強い回折線を生ずる。この時,入射X線の波長λ,格子の面間隔d,格子面と入射X線の角度θの間に,2dsinθ=nλの関係が成り立ちこれをBraggの条件と呼ぶ。上図参照。結晶には格子の方向により多数の面間隔の異なる格子面がある。粉末結晶では,あらゆる方向に結晶が向いているので,これらの格子面が回折条件を満足する方向に向いている結晶は必ず存在する。

従って粉末X線回折法では多数の異なる格子面からの回折線を同時に得ることができ,λが既知のX線を用いれば観測された回折線と入射X線とのなす角度2θからそれぞれのdを求めることができる。一方,単結晶では,格子面と入射X線のなす角度がBraggの条件を満たすように設定する必要がある。

分析装置・機器リスト