物理・表面計測系

透過型電子顕微鏡(TEM)

透過型電子顕微鏡
メーカー日本電子
型番(形式)JEM-2100Plus
製品カタログ(学内アクセスのみ)
設置場所22号館102室
管理室透過型電子顕微鏡室I
公開範囲学内外
技術職員配置あり
学内利用機器分析受付システム

透過型電子顕微鏡特有の観察手法である転位や暗視野像の観察に十分なコントラストが得られるため、材料の結晶学的な知見を得ることができる。

装置性能および仕様

加速電圧80~200 kV
電子銃LaB6
観察モード透過型電子顕微鏡(TEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)
分析機能エネルギー分散型X線分光器(EDS)
試料ホルダ強化仕様ベリリウム試料2軸傾斜ホルダ(X軸:±15度、Y軸:±25度)
高傾斜試料台 (X軸:±80度)
分解能TEM粒子像:0.31nm、TEM格子像:0.14nm、STEM明視野像:2.0nm
画面上での倍率TEM像:×30~×800,000(ハイコントラスト仕様)、STEM像:×100~×2,000,000
観察画像明視野走査透過像、暗視野走査透過像の取得が可能
取得した連続傾斜像からの三次元画像取得が可能(電子線トモグラフィー)

分析対象

試料サイズ試料はφ3mmのTEM用メッシュに載っている必要があります
状態無機物質

測定例

Ni-4.8mol%Al-6.1mol%Ti合金は、熱処理により複雑な構造を呈します。下の明視野像は、溶体化処理後、950℃ 45min. → 700℃ 8days と、二段階に時効処理をしたものです。
母相(γ)は不規則相のFCC構造であり、溶体化処理時にはγ単相となります。そこから950℃に降温すると、γ+γ’ 二相域となるため、γ’(L12構造)が析出します。このγ’相が立方体形状の粒子に成長したところでさらに700℃に降温すると、950℃でのγ’相の組成が700℃ではγ+γ’二相域になってしまうため、γ’粒子の中からγ相が析出します。そのようにして700℃でγ’粒子内部で析出したγ相を8日間時効すると板状に成長します。明視野像では線or棒のように見えますが、紙面垂直方向に立った板状です。

Ni-4.8mol%Al-6.1mol%Ti合金の明視野像

γ’析出粒子の相分解のメカニズム

γ’相(四角い粒子)はL12構造であり、電子回折図形では規則格子反射のスポットが得られます。赤丸で囲んだ110規則格子反射を用いて暗視野像としたのが下の写真です。γ’相の中にある板状の粒子は母相と同じγ相(FCC構造)であり、暗視野像では光らないため、結晶構造の違うものを明確に区別することができます。

Ni-4.8mol%Al-6.1mol%Ti合金の110γ’暗視野像

001γ’電子回折図形

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