物理・表面計測系
透過型電子顕微鏡(3D-TEM)
メーカー | 日本電子 |
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型番(形式) | JEM-z2500(後継機:JEM-2800) |
設置場所 | 2号館122B室 |
管理室 | 透過型電子顕微鏡室Ⅲ |
公開範囲 | 学内外 |
技術職員 | 配置あり |
学内利用 | 機器分析受付システム |
JEM-z2500は透過像(TEM)、走査透過像(STEM)、二次電子像、電子回折の観察ができます。そして走査像モードではSTEM-BF像、STEM-DF像、二次電子像の同時観察が可能です。
その他、EDS分析による元素マッピング、電子線トモグラフィーによる三次元再構成もできます。
JEM-z2500は蛍光板を直接見ないので、明るい部屋で観察できます。
装置性能および仕様
電子銃 | ショットキー電界放出形電子銃 |
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加速電圧 | 200 kV, 100 kV, 80 kV |
分解能 | 透過像(格子像):0.1 nm(加速電圧 200 kV) 走査透過像:0.2 nm(加速電圧 200 kV) 二次電子像(edge to edge):0.5 nm(加速電圧 200 kV) |
倍率(24インチワイドLCD上) | 透過像:×500 ~×20,000,000 走査透過像:×100 ~×20,000,000 二次電子像:×100 ~×20,000,000 |
元素分析 | エネルギー分散型X線分光法(EDS)(検出元素 B~U) |
その他の機能 | 電子線回折を用いた結晶方位解析 電子線トモグラフィー |
遠隔観察 | Microsoft Teams等のWeb会議システムを用いた遠隔の立ち会い測定が可能 |
分析対象
試料サイズ等 | ・3mmΦ のグリッドに試料を載せて高真空中で観察する。 ・電子線が透過できる厚さであることが必要 |
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分析不可 | (1) 毒物、危険物 (2) ガスが発生するなど、装置の故障の原因となる試料 (3) 強い磁化を持つ試料(磁性体については別途ご相談ください) (4) 前処理や分析過程で、装置に障害をきたす恐れがあると判断した試料 |
分析例1
ナノカーボン充填ポリエチレン/ポリプロピレン(PE/PP)複合材料をクライオミクロトームにて超薄切片化した後、加速電圧200kVでTEM観察を行った写真です。
PE/PP複合材料はブレンド比率により海島構造を形成する試料で、あるブレンド比率のTEM像(低倍率)では、PPが島相でPE相が海相を形成しています。そこにナノカーボンを充填した場合、ナノカーボンはプレート状(比較的黒色に観える部分)に観察でき、さらにPE相中に分散しています。また、ナノカーボンの一部はPP相中にも観察されています。
分析例2
下の図はABS樹脂薄膜を加速電圧200 kVでTEM観察を行った写真です。ABS特有のサラミ構造を確認するために、ABS樹脂ブロックを-100℃にてクライオミクロトームで面出し→そのブロックを2%四酸化オスミウムで30分染色→再度常温にてウルトラミクロトームという工程を踏んで超薄切片を作製しています。
分析例3
下の3D動画はカイワレ大根の葉緑体を観察したものです。葉緑体中のプラスト顆粒が立体的に配置されているのが確認できます。8万倍のTEM写真を1°/1枚ずつ撮影し、トータル110枚を用いて3Dに再構成しています。